ごあいさつ
私、磯貝圭子は6月11日に開催された理事会をもって、公益財団法人北海道演劇財団の理事長に就任いたしました。
この日は斎藤歩前理事長が逝去された日でもあります。
元々、この日の理事会で理事長交代の運びとなっていましたが、理事会開催の6時間ほど前に息を引き取ったと連絡が入りました。
亡くなる1週間前にご自宅に伺った時はまだまだお元気で、Zoomで理事会に参加して理事長交代について自ら説明するとおっしゃっていました。
それが、まさかの急変で理事会当日に旅立ってしまいました。
もしかすると理事会の当日まで何とか頑張ってくださったのかもしれません。
私は2001年に劇団化した札幌座の前身であるTPSの最初のメンバーで、そこからずっと専属俳優として活動してきました。
斎藤前理事長と共に現場で長く創作に関わってきましたが、前理事長が非常勤となったのを機に、昨年から常務理事として演劇財団で仕事を始めておりました。
長年俳優として関わってきましたので、何となく業務の内容を見知っているつもりではありましたが、実際に演劇財団で働いてみると、創作の現場とはまた異なった視点が必要であることを実感しました。
公益財団法人としての北海道演劇財団のこの街での在り方について私なりに考え始めた1年でした。
そして半年ほど前に斎藤前理事長から次の理事長にと打診がありました。
実際に創作の現場に携わってきた人間が、二期続けて理事長をやることに意義があるとのお話をいただき、お引き受けしますとお返事をしたものの、経営の経験のない自分がどこまでできるのか、大きな不安がありました。
斎藤前理事長にはもう少し元気でいていただき、新理事長としての出発を見守ってほしかった…という思いもありますが、受け取ったバトンを手にして、今はただ前を向いて走るだけだと覚悟しています。
まずは斎藤前理事長の作・演出で、最後まで出演を希望していた〈札幌演劇シーズン2025参加作品「劇後鼎談」〉をしっかり上演することが、当面の目標となります。
斎藤前理事長の遺志を受け継ぎスタッフ・キャスト一同力を合わせて作品づくりを行って参ります。
また、斎藤前理事長を送る会のお問い合わせも多数いただいておりますが、「劇後鼎談」が終わってからの実施を予定しております。
正式な発表までいましばらくお待ちいただければと思います。
まだまだ至らぬ点の多い私ですが、演劇財団に心を寄せてくださる皆様のお力をお借りして、これからの方向性を打ち出していく所存です。
今後もどうぞこれまで以上のご協力・ご支援・ご鞭撻を、お願い申し上げます。
2025年6月
公益財団法人 北海道演劇財団
理事長 磯貝圭子
沿 革
前 史
1989年度 | レニングラード・マールイ・ドラマ劇場の札幌公演をきっかけに、 「財団法人演劇振興基金(仮称)」準備委員会発足 |
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1993年度 | 札幌演劇財団(仮称)設立準備会発足 |
1995年度 | 北海道演劇財団設立期成会発足 |
北海道演劇財団設立 (1996年4月1日)
1997年度 | 「シアターネットかんげき」結成(~2016年3月まで事務局) ユースシアター始まる(~2001年) |
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1999年度 | TPSスタジオを開設、事務所も同じビル(南5西1北一ビル)に移転 TPS養成所を開設 |
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2001年度 | 扇谷記念スタジオ・シアターZOOオープン TPS劇団化(チーフディレクター:斎藤歩/チーフプロデューサー:平田修二) |
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2002年度 | 文学座との提携公演『冬のバイエル』が「東京国際芸術祭」に招待 「地域創造アトリエネット」(くらネット)結成 |
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2004年度 | 扇谷記念スタジオのあるビル(南11西1ファミール中島公園)に事務所、TPS稽古場を移転、TPSスタジオは閉鎖 | ||
2006年度 | さっぽろアートステージ 札幌劇場祭Theater Go Roundが開始 | ||
2007年度 | 北海道演劇財団とソウル演劇協会の交流協定締結 | ||
2008年度 | 『秋のソナチネ』札幌劇場祭作品賞受賞 | ||
2009年度 | TPSと劇団青羽が提携し、『蟹と無言歌』(作:斎藤歩/演出:キム・カンボ)を公演し、 札幌劇場祭演出賞受賞 |
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2010年度 | 北海道演劇財団とサハリン州文化局、チェーホフ劇場と交流協定締結 『クリスマス・キャロル』札幌劇場祭演劇大賞受賞 |
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2011年度 | 北海道演劇財団と富平文化財団の交流協定締結 札幌演劇シーズンが開始 |
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2012年度 | 北海道より公益認定を受け、公益財団法人へ移行 TPSは、機構を改め「札幌座」に名称変更 |
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2013年度 | チェーホフ劇場(ロシア/ユジノサハリンスク)が、初めて来札しシアターZOO企画・提携公演【Re:Z】の大賞受賞 ※【Re:Z】(リ・ゼット):繰り返しZOOに来ていただけることを願った「リピートZOO」の略称 |
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2014年度 | ソウル演劇祭主催「ソウル演劇祭」と大田文化財団主催で「亀、もしくは…。」を公演 | ||
2015年度 |
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2016年度 | 北海道演劇財団設立20周年・扇谷記念スタジオシアターZOO設立15周年を迎える |
公益財団法人へ移行
2008年12月に施行された新公益法人制度によって、民間が新しい公共を担う公益財団法人という道が開かれました。北海道演劇財団は、それまでも、演劇を振興し、演劇を通して街づくり、市民活動の促進を行ってきましたが、この改革を受けて、演劇を通した公益事業を推進しようと、2009年3月の理事会で、公益財団法人化への移行を議決しました。
そして、2012年3月、北海道から公益にふさわしいとの認定をいただき、2012年4月1日、公益財団法人北海道演劇財団に移行し、新たなスタートをいたしました。
目 的
北海道演劇財団は、演劇をはじめ幅広い分野における創造活動による人材育成と創造環境の充実に努めるとともに、地域文化の振興とまちづくり及び市民活動の促進を行い、もって豊かな地域社会の発展に資することを目的とします。
演劇の振興事業
- 北海道の演劇の向上事業
(1) 演劇の製作公演等による人材育成事業
(2) 提携公演による劇団の活動促進支援事業 - 地域における演劇に触れる機会の提供事業
- 演劇の創造環境改善と演劇を支える市民活動育成事業
特 色
- 全国でも数少ない市民参加型の財団法人です。自治体や企業の大きな出損によるのではなく、趣旨に賛同する地域の企業、団体、個人からの寄付を基本財産として設立されました。
- 財団の目的や事業内容には、演劇創造や鑑賞機会の提供などのほか、市民による活動を促進し育成援助することがうたわれています。 文化活動を通じて住民市民の地域社会への参加を促し、人間のつながりを基本とする快適な地域社会の実現に寄与しようとするものです。
- 演劇の振興に収まりきらない活動内容を含むため、当財団は北海道と北海道教育委員会に双方から許可を受けた共管法人として平成8年(1996年)4月発足しましたが、平成24年(2012年)4月に公益財団法人に移行しました。