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WATER33-39(札幌)
演出家・劇作家として活動する清水友陽が代表を務める。1997~2005年までは名称を清水企画とし、札幌を拠点に活動。2006年、WATER33-39と改名し現在に至る。2005年、韓国ソウル市にて「ハムレット」を上演し、2007年には韓国よりチョヨン劇場を招聘し、「授業」を競作。2008年には東京国際芸術祭2008 にて「ためいきをつくかいのはなし」を上演。オリジナル作品の劇場公演の他、劇団としてワークショップなども多数行っている。


じゃぱどら 地区大会「井上さんと岸田さん」
『犬は鎖に繋ぐべからず』
作:岸田國士
演出:清水友陽


<岸田さん>
  岸田國士(1890~1954)という人を知っていますか? 「國士」と書いて「くにお」と読みます。演劇をやっている人ならば「岸田國士戯曲賞」というのを聞いたことがあるかも知れません。「文学座」という有名な劇団をつくった人で、女優の岸田今日子さんのお父さんで、日本の演劇を語るときになくてはならない人のひとりです。

僕が岸田作品と初めて向き合ったのは、『動員挿話』という作品です。深津篤史さんのワークショップに参加していて、それで実際にいくつかのチームに分かれて作ってみることになったのです。『紙風船』くらいは読んだことがあったのですが、まず漢字が読めないし、読み慣れない言いまわしだし、その時まで岸田作品は高尚な劇文学だと考えていました。でも、深津さんの話を聞いているうちに、なんだか分からないけど「おもしろいかも知れないな」と思ったのです。岸田作品を「読む作品」ではなく「上演するための作品」として考え始めたきっかけです。

  その後、演劇大学で青井陽治さんのゼミに参加して、再び岸田作品と出会いました。その時は『紙風船』と『かんしゃく玉』を読みました。静かなようで物凄く劇的であり、そして当時どれだけ新しいことをやっていたのかという話を聞いているうちに「これはおもしろいぞ」となり、劇団員たちと他の作品をいくつも読みました。『命を弄ぶ男ふたり』を読んで笑ったり、『音の世界』を読んでテレビで今でもこんなことやってるなと思ったり。

  どうしてもフランスに行きたくて、お金もないくせに、大陸に着けば歩いてでもフランスに行けると言い、当然無理で香港で三カ月も通訳の仕事に時間を費やした岸田國士。そんなある日、賭けトランプで大勝してようやくフランスに行った岸田國士。そんな岸田國士に僕が出会ったのは最近で、当時の岸田(29歳)よりも今の僕の方がずっと年上になっていました。きっと、演劇をやる人は早く出会っておいた方がいいと思うし、演劇を見る人も体験しておいた方がいいのではないかなと思うんです。

  読むだけでは物足りず、せっかくだから劇団でやってみようということになり「水の戯れ」と銘打って、今まで『紙風船』『ぶらんこ』『隣の花』『驟雨』を上演しました。いざやってみると、ト書きに描かれた所作やひとつひとつの言葉の深さに圧倒されました。これはオオゴトでした、どうしたものかと。でも興味は尽きず、続けて行くことで何かが見えて来ると考えたのです。で、今回『犬は鎖に繋ぐべからず』向き合ってみることにしました。ケラさんが同じタイトルで、岸田戯曲をいくつもコラージュした作品を上演したのは記憶に新しいです。僕らはそのままやります。一時間程の作品で、わいわいと沢山の人たちが出て来ます。やっぱり変な作品で、大好きな作品で、やってみたかった作品です。そしてまた少し、岸田國士という人に出会えたらなと思うのです。

WATER33-39 清水友陽



日時:2月17日(木)20:00
18日(金)20:00
19日(土)13:00/16:00/19:00
20日(日)13:00/16:00

料金:〔一般〕前売2,000円 当日2,300円
    〔学生以下〕1,000円(前売当日ともに)

1月【Re:Z】劇団回帰線とのセット券もございます!
〔一般〕3,000円
〔学生以下〕1,500円

お問い合わせ:090-6991-7043(WATER33-39)
         gekidann@water33-39.com

劇団ホームページ:http://water33-39.com

 


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